都民芸術フェスティバル参加公演、邦楽演奏会、国立小劇場 

2012.3.3

ここ数十年折にふれ富士松小照先生の新内を聞かせていただいている。

美しく新派の舞台から抜け出たような方だが すっきりとした言葉遣い、変な色気がない。

ここ数年 今こそ聞き時 と思う円熟の境地が続いているが 今日新内仲三郎丈との”蘭蝶”は光を受けて輝く声でなく 自らが複雑な光を紡ぎだしている語り方だった。

素晴らしい

好きな人は誰でも ここは と耳を澄ます聞かせどころも いつも同じでなく繊細な変化をたくさん盛り込んでいる。

一人で練り上げている姿を想像すると身が引き締まる。

一般の歌い手の中には 一度聴衆に受けるとそこが強調され ついには調子外れになったまま自己陶酔に陥る人が多いが

冷静に厳しい目で自分がしていることを見る というのは大変難しい。

新内を習い始めるお父様と一緒に教場に行ったら お嬢さんのほうが見込まれプロになった と伺っている。

小照先生が一にも練習二にも練習 ただそれだけ とおっしゃるのを聞き尊敬の念が深まる。

 

写真は劇場前 開場三十周年記念 菅原伝授に寄せた白梅紅梅

今開場四十五年記念公演の最中だが その年二階に座っていたら地震で随分揺れたことを覚えている。

3月3日 

 


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